あなたの不調、もしかしたらホルモンが原因かも…。30代でも3割がその症状に悩んでいる「男性更年期障害」。そこに大きく関わっている男性ホルモン「テストステロン」を正しく理解して、健康な生活の足掛かりにしてみてはいかがでしょうか。
テストステロンの役割とは?
「男性ホルモン」と表記されがちなテストステロンですが、実は男女ともにすべての臓器および体内に存在します。
卵巣でも生成され、生殖年齢の女性ならばエストロゲン(女性ホルモンの一種)の約10倍ほどの量が存在します。
インスリンや甲状腺ホルモンなど他のホルモンと比べるとその量は、かなり多いのです。
ではなぜ、「男性ホルモン」と呼ばれるのか?
それは人間の性別(sex)と関係があるからです。
他の生物と同様に、人間もまず「女性」として出発します。
精子と卵子が結合し、受精卵ができ、それが細胞分裂を繰り返して胎児がつくられていくのですが、受精後7週目くらいまでは男女の区別はつきません。
すべてが女性に見えるのです。「女性」のXX染色体が基本。ところがY染色体をもっていると、胎児が自分でテストステロンをつくり出し「男性」の身体を形作ります。
どうやってつくり出すのか? これをすべて解明できたらノーベル賞3個分くらいの価値があります(笑)
小学生くらいでは、男女はだいたい同じくらいのテストステロン量で、思春期は平均的に女性のほうが早くきます。そのときに計測するとテストステロン量は男子より女子の方が多いのです。小学生5〜6年生くらいだと女子の方が身体が大きく、うっすらと髭がはえていることすらあるのはそのせいです。
その後遅れて男子が思春期を迎えますが、そこでテストステロンが一気に増え始めます。その量は女子の約10倍!
この男性ホルモンには造血作用、皮膚毛髪の育成、肝臓アルブミンの産生などに作用します(テストステロンが下がると、コレステロール値が上がります。健康診断でコレステロール値を指摘された人は、一度テストステロンの減少を疑ってもいいかもしれません)。
血管に働いて動脈硬化も予防します。そして何より、男性生殖器の発育に作用します。そのため「男性ホルモン」と呼ばれるのです。
ホルモンの語源は、ギリシャ語の「ホルマオ(元気づける・活性化させる)」です。健康な身体に欠かせないものであることが、言葉からもわかります。健康な身体に欠かせないものであることが、言葉からもわかります。身体全体からすればごくわずかな量ですが、影響が増幅させられていく物質。まるで音響でいえばアンプのような機能を果たしています。
男性ホルモンが増える3つの機会
テストステロンは身体的に重要なホルモンであるのと同時に、我々が社会活動をしていくうえで、とても重要な物質と言われています。
男性ホルモン値が上がる3つの状況を見てみましょう。
- 「冒険」 狩猟、旅、新しいことへのチャレンジ
- 「社会性」 仲間、家族、他人とのかかわり
- 「競争」 ゲーム、スポーツ、達成感、順位
「冒険」は、おそらく狩猟をしていたときの名残かも。
未知の世界に入り込んだりチャレンジしたり、失敗を恐れなかったりすることです。「社会性」はロイヤリティ、つまり自分のいる組織を大事にしたり、仲間や家族とのかかわりを持つことです。また犬の縄張り、マーキング行動にもテストステロンが働いていると言われています。また、これまで会ったことがない人と会うだけでも増えます。「競争」はゲームやスポーツなど数字や順位を競うことで、達成感を味わうことから生じます。小学生でもかけっこをした後、1位の子とそれ以外の子のテストステロン量を30分後に比べるとかなり差があります。
実は「ブランド品を買うとテストステロンが上がる」というデータも存在します。「買うから上がる」のではなく、「上がるから買う」のでは?と考えることもでき、その因果関係はわかりませんが相関関係にあるようです。ブランドのお店を見ると、確かに上がりそうな仕掛けがたくさんあるのではないか?と思うこともありますよね。
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